サイドカーには以前から興味があったのですが、ようやく自分専用のサイドカーを作ることが出来ました。
その車両は、扉で紹介しているFJ1200+ヨシオカ製サイドカーです。基本的な知識はあると思うのですが、製作
には深く携わっていないので素人と同じレベルだと思っています。サイドカーの構造変更を何台か依頼されてそのつど
試乗していましたが、自分のFJとあまり大きな変化はなくやはりサイドカーはだいたいこんな感じなのかなと思って
いました。但しそれらのサイドカーは純正品又は充分サイドカーを熟知しているスペシャルショップの方が作ったかど
うかは不明なので、ホントのところ素晴らしくバランスの取れたサイドカーを知らないのが現実でした。
そんなとき試乗させていただいたのがドマーニ、ものすごく驚きました!サイドカーは結構癖があり、その癖をうまく
使って走るのがまた面白いのですが、ドマーニは車幅感覚さえ判れば誰でも乗れると思います。何が違うの?! 借り
物なので分解は出来ません。下からや隙間から覗いたりして判ったことは、フレームがカー側と一体になっているのです。
以前FJのサイドカーを作った時、歪み計測器を使用しました。多くのセンサーを付け急発進や急停車、急旋回をさせ
てオートバイ側やカー側のフレームを歪ませそのとき各部の歪み量を測定し、フレームにかかる応力を算出するのです。
これによりどこにどれだけの応力がかかっているのかが判ります。その結果、接続部やステアリングヘッド部には意外
に多くの応力がかかっている事が判りました。そこで、ドマーニを見るとエンジンはBMWk型のエンジンを使ってい
て、スイングアームピボット部とエンジン部がメインフレームにガッチリ接合されています。ステアリングもオートバ
イとは違って独立しています。これにより接合部やステアリング部の歪み量が緩和され、後付サイドカーとは違った安
定感があるのかもしれません。しかし、これはあくまでも憶測です。一体型フレームのサイドカーと後付サイドカーの
根本的な違いは何なのか?そこで今回は一体型フレームのサイドカーを作ってみようと思いました。さて、どんな感じ
にしようかと考えたのですが、あまり奇抜なことをすると何がなんだか判らなくなりそうなので、とりあえず懸架シス
テムや操舵システムはドマーニと同じ様な感じに作りその後いろいろ試してみようと思っています。そこから新しい物
が出来ればラッキーみたいな感じでやってみたいと考えています。もしも完全にバランスが取れていて、セッティング
もバッチリな後付けサイドカーに出会えれば「なん〜だ、これでいいじゃない」と思うかもしれません。でも今は一体
型フレームのサイドカーを今後の知識として持っていたいので、休日を全部使って作ってみたいと思っています。
当社ではサイドカー専用スペースというか私(中村)専用のスペースが無い
ので、とりあえず作業場2Fを整理して製作スペースを確保するこにしました。
左の写真の様にかなり乱雑な物置状態。ここを片付けて作業場にする
ことにしました。車両もエレベーターがあるので何とかなるし、大まかな加工
は、下の加工場でやることにしたいと思います。
それにしても乱雑すぎる!いつか使おうと思っている部品がたくさんあって
こんな感じになってしまいました。別場所にも倉庫を借りてあるのですが、そ
こはもっと凄いことになっています。今度ガレージセールを開いて処分したい
と思っていますが出来るでしょうか・・・。
2Fの作業場が綺麗になったので作業開始。CADで設計した図面をもとにレーザーカットした板をプレス屋さんに
曲げてもらい、その部品をせっせと溶接しました。本当にCADは便利です、図面上ですべての部品が書けるので
個々の部品をコンピューターの中で組み立てることが出来ます。また、サスペンションや、ステアリング部の可動
もチェック出来るので大きな失敗を避けることができます。定休日にしか出来ない私にとって大変大きな武器になっ
ています。今回製作しているサイドカーはカー側のフレームにオートバイのエンジン・フレームを搭載するためカー
側との一体感があって剛性があるサイドカーになる予定でいます。フレーム形状はドマーニと違うのですが、材質
はクロモリパイプを使用しているので粘りのあるフレームになればいいなと思っています。
出来上がったフレームを整理した2Fの私の場所に
持ち込んで組立に入ります。エンジンは気にな
っていたヤマハTRX850、トルク感もあってしかも高回転
型なのでどんな感じになるかちょっと楽しみです。
それと、TRXはフレームがエンジンピボット部と分かれる
ので本来サイドカーにするには下回りに頑丈なサブフレーム
を製作しないとまずいのですが、このサイドカーは大丈夫です。
私のこだわりは3輪とも自動車のタイヤを使うことです。そのためエンジン側にも片持ちシステムに変更して4輪のホイール
が付くように改造しました。合体したエンジンとフレームが出来上がり、カー側のサスペンション、ハブ、フロントアーム
も完成しました。とりあえず1台しか作らないのですが、すべて溶接治具を作るのでそれが大変です。
とりあえずローリングシャーシーが完成しました。TRXは前にも述べましたが、フレーム本体はエンジンとピボット部
にボルトで固定されているのでこのままフレームを取り付ければOKなのです。でも現在フレームが無いので探している
ところです。ここまで出来るとなんか走りそうな感じがしてきませんか?TRXフレームが来たら操舵システムの製作が
残っているのでまだまだ先は長そうです。このサイドカーの基本システムですが、カー側のサスペンションはWウイッシュ
ボーンタイプを採用しました。この方法だとキャンバー、トーインも調整が出来ます。フロントも下側のアームが前後
に動くのでキャスターアングルも調整でき、セッティング幅も多く取ってあるのでどこか必ずヒットするポイントがある
はず(断言していいの?)なのでがんばってみたいと思います。サスペンション本体の設定ですが、現在仮のサスが付い
ているので、完成時にすべての軸重を計測してスプリングメーカーと相談したいと思います。この辺はオートバイと同じ
考え方でいいと思います。しかし、これをまた分解して2Fに移動するのがまた大変です。
私が作業しているところにファックスが届きました、
サイドカーのデザインを担当してくれた堀井さんから
新しいデザインです。まだ途中経過の報告だそうですが
だんだん現実的な形になってきました。私のお願いは
「かっこよくして下さい」だけなので大変みたいです。
カー側の方も変わるらしいので楽しみにしています。
こんなマシンで走ったら凄く目立つと思いますよ、
きっと。それにしてもデザインは大変ですね。もし
自分で書いていたらきっとありきたりなデザインに
なってると思います。このマシンだったら絶対道を譲
ってくれると思います。左のオートバイのみのデザイン
も結構良いかもしれません、刀につけたらいい感じにな
るのではないでしょうか。堀井さんの話によるとF1を
モチーフにしたそうです。それと堀井さんから現実的に
するために模型を作ろうとのことなので1/8のベースと
なる鉄製のフレームを作ってみました。
ハンドル位置、タイヤサイズ、フレームサイズ、アームサイズ等すべて実車の1/8サイズです。これもCADの威力が
発揮されます。コンピューターの中では1/1で作ってあるのでそれを1/8で出力すれば簡単に1/8の寸法がでてきます。
ホントにコンピューターには感謝です。まだエンジンはありませんが、これで外装模型が作れると思います。メーカーは
1/1サイズの模型を作りますが、このサイズでもイメージは充分伝わると思います。平面のイラストをイメージで作ると
ニュアンスが変わったりするのでやはり模型は重要だと思います。
今回はここまでです、ごめんなさい。今現在の話です、TRXのフレームが装着されて操舵システム、マフラーも完成して
ブレーキを取付中です。写真が多くて整理していますのでもう少しお待ち下さい。次は模型も完成しているかもしれません。
お楽しみに!。 2004/10/06
サイドカー製作4
戻る
サイドカーTOP
サイトマップ